Insights リーダーシップ研修とは?人材育成としての効果・対象者の選び方・研修会の進め方まで解説
2026年2月19日更新
2017–2023の対面・年次プログラムで見えた“効くリーダー育成”の条件
Global Academyでは2017年から2023年までの間、約350名の様々な業種からのリーダー候補を対象に、月1回対面での「リーダーシッププログラム」を提供してきました。
このプログラムでは、月1回対面×12回+交流会(1年間)を行うことで、自ら考え、行動できるリーダーシップを身につけることを目的としていました。
このプログラムを運営する中で、いくつか見えてきた「リーダー育成に効果があったこと」として、
- [他流試合]他社からの参加者との交流により、自社の魅力を発見したり、自社にはない考え方に触れることで、視座を高くし、柔軟な考えを養うこと
- [ケース討議]ケーススタディやディスカッションで実際の企業や個人の「困難」に触れることで、正解のない状況で判断の根拠を言語化すること
- [継続と振り返り]プログラムで学んだことを自社内で展開し、自社のメンバーと振り返ることで、学びを深めること
などが挙げられます。
そもそもリーダーシップ研修とはどのようなものなのか
リーダーシップ研修は、管理職だけのものではなく、現場の判断や巻き込みを強くする「人材育成の打ち手」です。本記事では一般的な整理に加え、この一次情報も踏まえて「研修が効く条件」「失敗しにくい設計」を解説します。
※企業名・個人名は守秘義務の観点から記載していません。
目次
1. リーダーシップ研修とは
2. リーダーシップ研修が必要な理由
3. 研修プログラムの種類
4. 研修の効果とメリット
5. 短期間で開催される「研修会」について(セミナー・講座との違い)
6. 研修の進め方(対象者の選定)
7. 研修の選び方(チェックリスト例)
8. Global Academyの研修
1. リーダーシップ研修とは
ビジネスの現場では「正解のない状況で意思決定し、周囲を巻き込み、実行につなげる力」を鍛える研修として導入されます。
リーダーシップ研修は、企業が主に管理職やマネージャー層を対象として実施することの多い研修で、リーダーシップ性の向上を目的とした研修で世界中で実施されている研修、トレーニングです。
理論的な学習と実践的な活動を組み合わせるプログラムで研修が構成されることが多く、リーダーとしての自己認識を深め、チームのパフォーマンスとモチベーションを向上させることを目指しています。
項目としては、チームマネジメント、意思決定、コミュニケーションスキル、問題解決能力の向上などがあります。具体的な内容、研修で習得できるスキルは、以下があげられます。
- リーダーとしての心構えや役割の理解
- 組織ビジョンの共有と実現のための方策
- 部下のモチベーション維持や向上
- コーチングとメンタリングによる部下育成
- 対話力や影響力を高めるコミュニケーション術
- 変化への対応力と意思決定力の向上
- 組織目標達成のための戦略的思考力強化
このように、個人のリーダーシップスキル向上とともに、組織力強化を図ることを目的としており、社員教育の中核をなす重要なプログラムといえます。
リーダーシップは、才能がある人しかできないのではなく、誰しもが持つことのできるスキルや仕事であると言えるでしょう。
2. リーダーシップ研修の必要性
人材育成としての狙い(任せられる人を増やす/判断を分散する)
リーダーシップは、組織やチームの成功にとって非常に重要な能力です。
企業や組織におけるリーダーシップがなぜ必要とされているのでしょうか?
リーダーの重要性は以下の3つの点に集約されます。
- 第1に、リーダーは組織やチームの方向性を示し、目的地に導く「舵取り」の役割があります。目標達成のために正しい道筋をつけることは極めて重要です。
- 第2に、リーダーには組織を一つのベクトルにまとめる「集約力」が求められます。個々の力を合わせて最大化するには、リーダーシップが欠かせません。
- 第3に、リーダーは構成員を動機づける「モチベーター」である必要があります。一人ひとりのやる気と生産性を高めることこそが、リーダーの大切な仕事といえます。
新型コロナウイルスの流行による働き方の多様化、AIによるビジネスモデル変革の必要性など、現代は変化が非常に速い時代にあります。大地震などの災害や超高齢社会、就労人口の急減少など、日本は避けることができない問題が多数存在します。これら変化に対応するリーダーの存在は、企業や事業の存続に非常に重要です。
また、良いリーダーのいる企業は採用力も強化されます。人材不足が続く日本では、採用力の強化も非常に重要な経営課題の一つです。
このように、リーダーは会社組織全体に影響を与えるため、株主や社会的影響も大きくなっていきます。
リーダーシップ育成は、企業や事業の発展に欠かせない項目であることは明確であり、リーダーシップ研修・開発は、中長期的な企業の投資として捉えるべきでしょう。
リーダーシップについて検討する際に「マネージャー」や「マネジメント」という言葉との違いについて悩まれた方もおられるのではないでしょうか。後述するGlobal Academyの「グローバル人材認定プログラム」ではこの違いについても詳しく紹介していますが、例として以下のような違いがあります。
リーダーシップ研修とマネジメント研修の違い(例)
-
リーダーシップ:方向づけ・巻き込み・意思決定(不確実性に強い)
-
マネジメント:目標管理・業務運用・再現性(安定運用に強い)
3. 研修プログラムの種類
では、リーダーシップ研修にはどのような種類があるのでしょうか?いくつか代表的な例を見てみようと思います。
・新任管理職研修
管理職就任時に基本的なリーダーシップスキル習得のために実施する研修
・中堅リーダー開発プログラム
組織運営力強化や業務改善力育成を目的とした、中堅向け研修
・部長研修
戦略立案力や財務分析力を強化するための研修
・次世代リーダー開発プログラム
将来的な経営陣に対する、1~2年間の長期育成研修
・女性リーダー研修
様々なライフスタイル、バックグラウンドなどを考慮・支援し、持続可能な管理職へと育てていくコース
※女性リーダー研修で扱われやすい論点(例)
〇 役割移行(プレイヤー→マネジャー)
〇 多様なメンバーを活かすインクルーシブなリーダーシップ
・グローバルリーダー研修
海外赴任や海外事業に携わる社員向けの研修。グローバルビジネスリーダーを養成します。
以上のように、受講対象者や目的に応じた多様な研修が存在します。
経営・人材戦略と計画、また時代に合わせてプログラムの更新や見直しも頻繁に行われています。
4. リーダーシップ研修の効果とメリット
次に、リーダーシップ研修によりリーダー人材が育成された場合、組織にどのような効果をもたらすか、見てみたいと思います。
まずは、生産性と業績の向上です。良いリーダーの存在は、チームのモチベーションが高まり、個々のパフォーマンスが最大化され、組織全体の業績向上につながります。
2つ目は優秀な人材の採用・定着率の向上です。良いリーダーは魅力的な会社組織を形成し、人材獲得・採用力も向上します。
3つ目はイノベーションの創出。良いリーダーのもとには柔軟で広い知識と経験、困難な状況も乗り越える力を持ちます。またそのようなチームでは新しいアイデアがどんどん出てくる等、革新的な商品やサービスなどのイノベーションが生まれやすくなります。
リーダーシップ研修は生産性や業績の向上だけでなく、優秀な人材の獲得やイノベーション促進など、組織全体に多大な効果をもたらします。
反対に、良いリーダーが不在の場合、様々な企業リスクが生じます。一部の例を以下に記載します。
・目標の未達
リーダーシップが欠けていると、チームや組織の目標設定が不明確になり、目標達成が困難になります。
・従業員満足度(ES)の低下、離職率の上昇と採用力の低下
従業員が業務の方向性や目的を見出せずサポートも受けれていない場合、満足度が低下し生産性の低下を招きます。結果的に、他の機会を求めて離職率が上がり、採用力も低下します。
・意思決定の遅延、変革と成長の阻害
リーダーシップ性が不足していると意思決定に時間がかり、機会損失や競争上の不利益が生じることもあります。
また、新しいアイデアや変革に対して受容的でなくなり、長期的成長を妨げます。
これらリスクを回避するには、企業はリーダーシップ開発に投資し、良いリーダーを複数育成・新規採用する必要があります。しかし就労人口が急減少する日本においては、新規採用よりも人材育成の方が企業にとっては効果的かつ長期的な資産となるでしょう。
従ってリーダーシップ開発の重要性は極めて高く、企業にとって多大なメリットがある“投資”なのです。
5. 短期間で開催される「研修会」について(セミナー・講座との違い)
リーダー研修では、半日〜1日程度でリーダーとして必要な考え方や行動を学ぶ短時間の学習機会として研修会を各企業や企業横断型で開催することがあります。このような会では、ケース討議やワークを通じて「気づき」を得ることに強みがあります。一方で、リーダーシップは価値観・判断・コミュニケーションが関わるため、研修会1回で定着させるのは難しく、ワーク→現場実践→振り返りをセットにすると効果が出やすくなります。研修会を選んだり、自社開催する際は、
- アウトプットの時間があるか
- 現場で試す課題があるか
- 振り返り(フィードバック)の機会があるか
の3点を確認すると失敗しにくくなります。
Global Academyの現場知見:研修会を“イベント”で終わらせない3ステップ
研修会(半日〜1日)は「気づき」を得るには有効ですが、定着させるには“回し方”が重要です。2017〜2023年に運営してきた対面プログラムでも、ケース討議→実践→振り返りを月次で回すほど、議論が「感想」から「判断の根拠/再現できる行動」に深まっていきました。
研修会を単発で終わらせないために、最低限この3ステップをおすすめします。
- 研修会の最後に「次の1週間で試す行動」を1つだけ決める(例:会議で意思決定の理由を一文で言語化して共有する)
- 2〜4週間後に短いフォロー(30〜60分)を入れ、実践の結果を共有する(うまくいった理由/詰まった理由を言語化する)
- 可能なら他部署・他社など“前提が違う人”を混ぜた振り返りにする(他流試合で視点が増え、自社の当たり前が相対化されやすい)
この3点が揃うだけで、「良い話を聞いた」で終わりにくくなり、現場で使える共通言語が残りやすくなります。
6.研修の進め方(対象者の選定)
① 対象者選定の方法(公募/選抜/役割別)
②対象者別:到達目標
7. 研修の選び方(チェックリスト例)
以下を「はい/いいえ」で答えられる形にしておくと、比較が一気に楽になります。
A. ニーズ・目標(なぜやるか)
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研修の目的は「知識習得」ではなく、現場行動(判断・巻き込み・対話)の変化として定義できているか?
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いま困っている現象(例:判断が上に集まる/会議が進まない/任せられない)を具体例で3つ言えるか?
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受講後「何ができるようになっていれば成功か」を1文で言えるか?(例:週1回、意思決定理由を言語化して共有できる)
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その目的は、他施策(制度・評価・配置)と矛盾していないか?
B. 対象者と設計(誰に、どう当てるか)
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対象者は役割で切れているか?(新任管理職/PJリーダー/全社員など)
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対象者の業務実態に合うか?(学習時間、繁忙期、端末環境、オンライン可否)
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受講者同士の前提差(経験年数・職種)が大きい場合の“調整策”があるか?(事前課題、レベル別課題など)
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上長の関与(推薦・学習時間確保・振り返り面談)が設計に含まれているか?
C. 実践性(やって終わりにならないか)
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インプットだけでなく、アウトプット(記述・発表・ケース討議・課題提出)が複数回あるか?
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受講者が自分の現場課題を持ち込み、自社文脈に当てはめる設計になっているか?
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「学んだことを翌週の会議・1on1で使う」など、現場実装の宿題があるか?
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フィードバック(講師/同僚/上長)があるか?(一度でもあると定着が段違い)
D. 評価・効果測定(成果を説明できるか)
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受講前後で測る指標があるか?(自己評価だけでなく、行動観察や上長評価も含む)
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研修の成果が「受講率」ではなく、行動変化としてレポートできるか?
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社内共有の仕組み(報告会、修了課題、学びの共有)があるか?
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研修が人事施策(評価・育成計画)と接続できる形になっているか?
E. 継続・定着(育成として回るか)
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研修後にフォロー(復習、コミュニティ、追加課題、相談窓口)があるか?
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“単発”で終わらず、育成体系(次の研修・配置・役割付与)に繋がるか?
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受講者が学びを継続するための時間確保ルール(例:週○分の学習時間)を置けるか?
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「やりっぱなし」になった場合の失敗要因(繁忙/上長無関心/課題が曖昧)を先に潰せているか?
8. GLOBAL ACADEMYの研修
上記の通り、リーダーシップ研修は「知識」ではなく、現場での判断・巻き込み・対話といった行動が変わる設計になっているかが重要です。
Global Academyでは、オンラインプログラムの立ち上げ以前から、様々な業界の大手企業のリーダー候補の方々が企業横断で学ぶ対面型プログラム(他流試合の場)を運営してきました。2017〜2023年にかけて月1回の対面授業と交流会を1年間続ける中で、特に効果が大きかった要素は次の3つです。
1) 他流試合(異業種・他社の前提に触れる)
自社の「当たり前」が相対化され、視座が上がります。他社との交流を通じて、自社の魅力や強みを再発見するきっかけにもなります。
2) ケース討議(正解のない状況で判断を言語化する)
理解にとどまらず、意思決定の根拠を言葉にし、他者に説明する練習ができます。議論が活性化し、新しい視点の獲得につながります。
3) 継続と振り返り(学び→実践→フィードバックを回す)
1回の気づきを“行動の型”として定着させるには、実践と振り返りを繰り返すことが不可欠です。
これらの一次情報を踏まえ、Global Academyの「グローバル人材認定プログラム」では、リーダーシップに加え、多文化理解・戦略的思考・ビジネスコミュニケーションを体系化し、オンライン動画とワークを通じて、忙しいビジネスパーソンが無理なく「判断を言語化して説明できる状態」まで鍛える設計にしています。
法人導入として、対象者設計(誰に当てるか)や、定着設計(現場実装・振り返り)まで含めて検討したい方は、以下の「法人導入について」をご覧ください。
