リーダーシップ研修の完全ガイド
リーダーシップ研修の効果や意義、対象者の選別方法から研修サービスの選び方まで解説します
日本国内の2023年度の人材研修市場は、リスキリングという言葉が流行していることからも、研修の重要性が注目され、更には働き方が大きく変革した新型コロナウイルス感染症の流行もあり、前年度比で成長している市場です。
2022年度の市場規模は約5,370億円、前年度比3.1%増と推計されており、2023年度には約5,500億円に拡大すると予測されています。(※株式会社矢野経済研究所プレスリリースより)
さまざま人材育成研修のなかでも常に注目を集めているのが「リーダーシップ研修」。
なぜ重要視されるのか?また、具体的にどんな研修を実施しているのでしょうか?
日本人で唯一ハーバードビジネススクールの教授として活躍し、多くのビジネスリーダーを輩出してきた竹内弘高が会長を務めるGlobal Academyの視点から、リーダーシップ研修の重要性や効果、そして実際に研修プログラムの導入を検討している企業人事担当向けに、選ぶ際のポイントなどをまとめてみたいと思います。
目次
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リーダーシップ研修とは
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リーダーシップ研修の必要性
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リーダー研修の種類
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リーダー研修の効果とメリット
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研修の進め方(対象者の選定)
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研修の選び方
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Global Acacademyの研修
1. リーダーシップ研修とは
リーダーシップ研修は、企業が主に管理職やマネージャー層を対象として実施することの多い研修で、リーダーシップ性の向上を目的とした研修で世界中で実施されている研修、トレーニングです。
理論的な学習と実践的な活動を組み合わせるプログラムで研修が構成されることが多く、リーダーとしての自己認識を深め、チームのパフォーマンスとモチベーションを向上させることを目指しています。
項目としては、チームマネジメント、意思決定、コミュニケーションスキル、問題解決能力の向上などがあります。具体的な内容、研修で習得できるスキルは、以下があげられます。
・リーダーとしての心構えや役割の理解
・組織ビジョンの共有と実現のための方策
・部下のモチベーション維持や向上
・コーチングとメンタリングによる部下育成
・対話力や影響力を高めるコミュニケーション術
・変化への対応力と意思決定力の向上
・組織目標達成のための戦略的思考力強化
このように、個人のリーダーシップスキル向上とともに、組織力強化を図ることを目的としており、社員教育の中核をなす重要なプログラムといえます。
リーダーシップは、才能がある人しかできないのではなく、誰しもが持つことのできるスキルや仕事であることは多くの著名人が提唱しています。
2. リーダーシップ研修の必要性
リーダーシップは、組織やチームの成功にとって非常に重要な能力です。
企業や組織におけるリーダーシップがなぜ必要とされているのでしょうか?
リーダーの重要性は以下の3つの点に集約されます。
第1に、リーダーは組織やチームの方向性を示し、目的地に導く「舵取り」の役割があります。目標達成のために正しい道筋をつけることは極めて重要です。
第2に、リーダーには組織を一つのベクトルにまとめる「集約力」が求められます。個々の力を合わせて最大化するには、リーダーシップが欠かせません。
第3に、リーダーは構成員を動機づける「モチベーター」である必要があります。一人ひとりのやる気と生産性を高めることこそが、リーダーの大切な仕事といえます。
新型コロナウイルスの流行による働き方の多様化、AIによるビジネスモデル変革の必要性など、現代は変化が非常に速い時代にあります。大地震などの災害や超高齢社会、就労人口の急減少など、日本は避けることができない問題が多数存在します。これら変化に対応するリーダーの存在は、企業や事業の存続に非常に重要です。
また、良いリーダーのいる企業は採用力も強化されます。人材不足が続く日本では、採用力の強化も非常に重要な経営課題の一つです。
このように、リーダーは会社組織全体に影響を与えるため、株主や社会的影響も大きくなっていきます。
リーダーシップ育成は、企業や事業の発展に欠かせない項目であることは明確であり、リーダーシップ研修・開発は、中長期的な企業の投資として捉えるべきでしょう。
3. 研修プログラムの種類
では、リーダーシップ研修にはどのような種類があるのでしょうか?いくつか代表的な例を見てみようと思います。
・新任管理職研修
管理職就任時に基本的なリーダーシップスキル習得のために実施する研修
・中堅リーダー開発プログラム
組織運営力強化や業務改善力育成を目的とした、中堅向け研修
・部長研修
戦略立案力や財務分析力を強化するための研修
・次世代リーダー開発プログラム
将来的な経営陣に対する、1~2年間の長期育成研修
・女性リーダー起業プログラム
近年増加している女性管理職対象のエグゼクティブ養成コース
・グローバルリーダー研修
海外赴任や海外事業に携わる社員向けの研修。グローバルビジネスリーダーを養成します。
以上のように、受講対象者や目的に応じた多様な研修が存在します。
経営・人材戦略と計画、また時代に合わせてプログラムの更新や見直しも頻繁に行われています。
4. リーダーシップ研修の効果とメリット
次に、リーダーシップ研修によりリーダー人材が育成された場合、組織にどのような効果をもたらすか、みてみたいと思います。
まずは、生産性と業績の向上です。良いリーダーの存在は、チームのモチベーションが高まり、個々のパフォーマンスが最大化され、組織全体の業績向上につながります。
2つ目は優秀な人材の採用・定着率の向上です。良いリーダーは魅力的な会社組織を形成し、人材獲得・採用力も向上します。
3つ目はイノベーションの創出。良いリーダーのもとには柔軟で広い知識と経験、困難な状況も乗り越える力を持ちます。またそのようなチームでは新しいアイデアがどんどん出てくる等、革新的な商品やサービスなどのイノベーションが生まれやすくなります。
リーダーシップ研修は生産性や業績の向上だけでなく、優秀な人材の獲得やイノベーション促進など、組織全体に多大な効果をもたらします。
反対に、良いリーダーが不在の場合、様々な企業リスクが生じます。一部の例を以下に記載します。
・目標の未達
リーダーシップが欠けていると、チームや組織の目標設定が不明確になり、目標達成が困難になります。
・ESの低下、離職率の上昇と採用力の低下
従業員が業務の方向性や目的を見出せずサポートも受けれていない場合、満足度が低下し生産性の低下を招きます。結果的に、他の機会を求めて離職率が上がり、採用力も低下します。
・意思決定の遅延、変革と成長の阻害
リーダーシップ性が不足していると意思決定に時間がかり、機会損失や競争上の不利益が生じることもあります。
また、新しいアイデアや変革に対して受容的でなくなり、長期的成長を妨げます。
これらリスクを回避するには、企業はリーダーシップ開発に投資し、良いリーダーを複数育成・新規採用する必要があります。しかし就労人口が急減少する日本においては、新規採用よりも人材育成の方が企業にとっては効果的かつ長期的な資産となるでしょう。
従ってリーダーシップ開発の重要性は極めて高く、企業にとって多大なメリットがある“投資”なのです。
5.研修の進め方(対象者の選定)
リーダー研修を選定する際には、いくつか着目すべき点があります。
経営者や人事としては、多くの社員にリーダーシップを発揮してもらいたいですよね。
上述の通り、リーダーシップは特別なスキルや才能ではなく、誰もが持つことのできるスキルです。
同じチームに複数人リーダーシップ性が高い人材がいても全く問題ありません。良いリーダーが複数いた方が、この不確実性と複雑性の高い社会において、組織力はより強くなっていくでしょう。
では、どのようにリーダーシップ研修の実施に向けて進めていくべきでしょうか。
以下にどのような観点でどんな対象者が良いのか等を実績事例からいくつか記載します。
1:挙手制で受講者を募集する
挙手性で研修を希望することは、社員それぞれの自主性の高さと比例します。
向上心が高い人が受講を希望するため、上司や人事としてもそのような人材の出現は嬉しいですよね。
そういった自主性が高い方であれば、より研修の効果(習熟度)も高いのではないでしょうか。
また、前述の通り、誰がどのようなリーダー性を発揮するのかは未知なため、まずは役職や業務内容にかかわらず募集してみるというのも1つの考え方かもしれません。
2:人材を選別し受講させる
人事計画が整備され、将来のリーダー候補者が既にいる場合、こちらの手法を行う企業が多いです。
この方法のメリットとしては、既に候補が決まっているので、対象者に注力して育成ができ、効果測定しやすい点です。将来の幹部候補を育てることは、企業にとっても重要な課題です。
効率的に見えるこちらの手法、デメリットも忘れてはいけません。
研修受講者を会社側から一方通行で選定することは、他に受講希望者がいても受講できない、つまり公平性が損なわれる場合があります。
「この年齢、この階級だから受けなくていい」「この業務の人にはリーダー研修は不要だろう」などは、多様性が失われるリスクがあります。効率的でロジカルだと思っている方法も、実はただの思い込みである危険性も。
対象でないと自覚した社員は、昇進意欲の低下やモチベーション低下に直結するかもしれません。
また、社員は業務だけでなくプライベートや生活も大切にされています。研修担当者は、対象者の家族やプライベートとの兼ね合い、業務負荷も考慮しながら選定していくことをお勧めします。
3:部署や役割に応じた選定
研修の内容を確認し、その研修に合った対象者へ受講してもらう方法です。
Global Academyの研修の導入例では、コンサルティング事業や広告代理店企業では全社員へリーダー性を求めることもあり、在籍年数に関わらず社員全員にリーダーシップ研修を実施しています。
あるいは、事業を推進する役職、人材マネジメントを行う管理職、新しい視点を常に持っていてほしい営業やマーケ企画職。企業を引っ張っていくCxO等幹部など、研修のレベルや内容に加え、それぞれ企業の課題や計画によりさまざまです。
いずれも「人事計画を明確にしている」ということが重要です。
現状の課題と目指す姿を明確にし、どのような人材が社内に必要なのか把握し、目標と評価軸を設計しましょう。
目標と評価がなければ、将来大きな資産となり得る人材投資の効果検証ができません。
6. 研修の選び方
適切なリーダーシップ研修を選ぶ際の具体的なポイントは以下の通りです。
- ニーズと目標の設定:
現在の課題や将来の目標を明確にし、それらに合わせた研修プログラムを選ぶことが一丁目一番地、最重要です。
闇雲に研修を実施しても、どんな課題がどう解決(=成果)されたのか、明確にすることができません。
- 対象者と研修内容を選定する:
前述した通り、対象となる従業員の経験値、役割などに応じて選ぶ、あるいは挙手で募集します。
例えばe-larningであればパソコンやスマートフォンなどの端末を持っている必要があり、対面型や集合型であれば現地に足を運べる対象者でなければなりません。DE&Iの目線で考えると、障害をお持ちの方も公平かつ平等に受講する権利はあります。
また、研修にかけることができる費用についても把握しておく必要があります。国や各自治体では企業の社員研修や人材研修の促進を支援しており、補助金・助成金の活用も有効です。
- 実践的でしっかりとスキルが身に付く研修であるかを確認する:
理論だけでなく、実践的な学びが可能な研修を選ぶことが重要です。
リーダーシップというのは一長一短で身に付くものではなく、①知る ②わかる ③実施してみる ④少しできる ⑤常にできる、と長期的に積み上げていくことで身に付くものです。
また、正解/不正解があるものではありません。
ケーススタディ、ロールプレイング、インプットとアウトプットが多数あるインタラクティブ(相互的)な構成か等、詳細を確認しましょう。
聴くだけの研修ではアウトプットの機会が少ないため、スキル習熟度が低く研修の効果が見られない傾向があります。アウトプットが多い研修を選択することで習熟度に差が出てくる、つまり企業力に差が付くと思ってください。
- 評価とフィードバックの提供:
研修の効果を測定し、参加者からフィードバック得たり、習熟度を測る機会があるプログラムを選ぶと、より効果的な学びと人材育成への投資の効果が見える化できます。人事評価や業績と結びつけるシステムを導入する企業もありますが、その状態まで持っていくには非常に複雑で深い階層の設計がと根気強い人事能力が必要です。
しかし、それを行うほどの価値が、人材育成にはあるのです。
- 継続的な学習のサポート:
リーダーシップのような数値で測れない能力は、長期的に継続して学習することと経験値によって養成されていくスキルのため、研修が完了した後も継続的に学びを深めることができる体制を取ることも重要です。
フォローアップするプログラムが備わっているか、復習ができるのかも、研修サービスの重要な選択基準です。
7. Global Acacademyの研修
Global Academyでは「グローバル人材認定プログラム」という、日本企業が国際社会で活躍していくのに必要なスキルを持つビジネスパーソンを育成する、社員研修、人材研修事業を行っています。
ハーバードビジネススクールで教授として20年以上従事し、多数のグローバルリーダーを育成してきた竹内弘高が会長兼講師を勤め、わかりやすく理解度が高い研修プログラムであると好評をいただいております。
リーダーシップ開発のみでなく、多文化理解力や、VUCA時代に企業が生き残るための戦略的思考のコース、コミュニケーション&プレゼンテーションのコースも含まれ、理解度と習熟度が高い最新カリキュラムです。
受講して終わりではなく、認定制度を設け、認定者限定の交流の場を提供するなど、独自の研修を行っております。
詳細はGlobal Academyのサイトをご覧ください。